「サクラは木、タンポポは草」——そのちがいの正体を探ってみよう
「あれって木?草?」——公園を歩いていると、ふとそんな疑問が浮かぶことがある。アジサイは木なのか草なのか。あんなに大きなタケは木じゃないの?
子どものころから「木と草は別もの」と感覚でわかっているつもりでも、いざ「何がちがうの?」と聞かれると意外と答えに詰まる。
答えは茎の「硬さ」にある。たったそれだけのちがいが、サクラとタンポポを分けている。知ってしまえばなんでもないことが、植物の見方をちょっと変えてくれる。
木と草の根本的なちがいは、茎が木質化(もくしつか)するかどうかです。
木質化とは、茎の細胞壁にリグニンという物質が蓄積されて硬くなること。 木(木本植物)は年を追うごとに茎が太く硬くなり、冬が来ても幹や枝が残ります。 一方、草(草本植物)の茎は柔らかいまま。多くの草は冬に地上部が枯れ、翌春に新しい茎を出します。
理屈はわかっても、目の前の植物がどちらか迷うことがあります。 現地では次の3点を確かめると判断しやすくなります。
根元の茎を指で押してみましょう。硬くてびくともしない → 木。柔らかく少し沈む感触 → 草。太さではなく「硬さ」で判断するのがポイントです。
「この植物、冬はどうなる?」と考えてみましょう。骨格となる幹や枝が残るものは木、地上部がまるごと枯れてしまうものは草です。多年草は根だけ生きて翌春に再び芽吹きます。
木の茎(幹)を横に切ると年輪が見えます。草の茎には年輪はありません。太くても年輪のないものはタケ(竹)のように草の仲間です。
日常の感覚と植物学上の分類がずれることがあります。思わず「へえ」となる例をいくつか紹介します。
あんなに太くて硬いのに、タケは草の仲間(イネ科)。茎(竹の節)は木質化するものの、年輪を作らず、構造的には草本に分類されます。地上部が枯れることなく地下茎で広がります。
南国の大きなバナナの「木」に見える幹は、実は葉の付け根(葉鞘)が重なったもの。本物の木質化した幹ではないため、草本植物です。世界最大の草本植物の一つと言われます。
秋の七草の一つで、野山や道端を覆う大型のつる植物。根は多年草の草本ですが、地上のつる部分は毎年伸びては枯れます。
梅雨の花として親しまれるアジサイは低木。冬に葉が落ちても、木質化した幹と枝は残ります。毎年同じ株から新しい枝が伸びて花を咲かせます。
春に紫の花房を垂らすフジは木本のつる植物(木質つる性)。幹は木質化していて樹齢を重ねると太くなります。草のように見えることがありますが、れっきとした木です。
秋の野原の代名詞ですが、ススキは草本。毎年地下の根茎から新しい茎を出します。背が高くても茎は木質化せず、秋冬には枯れた茎が残るだけです(木ではない)。
木本植物はさらに樹高や形態で3つに分類されます。
草本植物は寿命のサイクルでも分けられます。
| 種類 | サイクル | 特徴 | 例 |
|---|---|---|---|
| 一年草 | 1年以内 | 種→発芽→開花→結実→枯死を1年で完了 | ヒマワリ・アサガオ・エノコログサ |
| 二年草 | 1〜2年 | 1年目に葉だけ出し、2年目に花を咲かせて枯れる | センブリ・ハマダイコン |
| 多年草 | 複数年 | 地下部(根・球根・地下茎)が生き続けて毎年再生 | タンポポ・ススキ → |