「球果を作るか」「葉の形」——裸子植物のグループ判別は2つの問いから始まる
マツもイチョウも「裸子植物」と分類されるが、系統的には大きく異なるグループだ。マツとヒノキは「球果植物」という共通の大グループに属するが、イチョウは約2億年以上前に独立した系統で現在も1種だけが生き残る。
裸子植物の最も大きな特徴は「種子が果実に包まれない(裸のまま)」点だが、そのなかでも種子の包まれ方・葉の形・球果の有無によってグループが分かれる。
このコラムでは裸子植物を「球果植物(マツ科・ヒノキ科)」「イチョウ科」「イチイ科・マキ科」の大きな流れで整理し、それぞれの見分け方を解説する。
現生の裸子植物は大きく4つのグループに分けられる。球果植物(マツ目・ヒノキ目など)が最も種類が多く、残りはそれぞれ独立した古い系統だ。
※ ソテツ目・グネツム目など他のグループも存在するが、日本の山野・街路で見かける裸子植物の大部分はこの3グループに属する。
球果植物は「球果(きゅうか)」という木質化した鱗片状の器官に種子がつくグループだ。いわゆる「まつぼっくり」が球果の代表例。葉は針状・鱗片状・線形など種によって異なり、そこで科を区別できる。
最大の特徴は「複数の針葉が束(ふくろ)になって出る」点。アカマツとクロマツは2本束、ゴヨウマツは5本束、カラマツは多数が短枝に集まる。球果は種によって大きさが異なり、マツ属は比較的大型。樹脂(松やに)を多く含む。
イチョウ科は現在も生きている種がイチョウ1種のみという、極めて小さな科だ。最古の化石記録は約2億7000万年前に遡り、現在のイチョウと形がほとんど変わっていないことから「生きた化石」と呼ばれる。裸子植物の他グループとも離れた独立した系統に位置する。
扇形の葉と「二叉(にまた)分岐する葉脈」が最大の特徴。他の植物には見られない独特の形だ。雌雄異株(オスとメスが別々の木)で、メス木には秋に銀杏の実(種子)がなる。秋には黄色く紅葉する。縄文時代以前から日本に自生していたとされる。
「裸子植物=まつぼっくり」というイメージを壊すのがこのグループだ。イチイ科とマキ科は球果を作らず、種子が肉質の「仮種皮」や「花托」に包まれる独特の形をとる。見た目が球果植物と大きく異なるため、裸子植物と気づかれにくい。
球果を作らず、種子が赤い肉質の「仮種皮(かしゅひ)」にカップ状に包まれる。平らな針状の葉が茎の左右に2列に並ぶ。葉と種子(仮種皮以外)には有毒のタキシンを含む。常緑針葉樹で生垣・庭木として広く利用される。
球果を作らず、種子が紫〜赤色の肉質「花托」に乗った形をとる。葉は針葉樹の中では幅広い扁平な線形〜披針形。雌雄異株。庭木・生垣として古くから利用される。イヌマキ・ラカンマキなどが代表種。