「花びらがくっついているか離れているか」——それだけで植物の系統の大きな流れが見えてくる
被子植物の中で最も種類が多いのが双子葉類だ。バラ、タンポポ、マメ、シソ、モクレン——これらはすべて双子葉類に属するが、系統的にはまったく異なる「枝」から生まれている。
双子葉類の系統を整理するうえで最も重要な分岐は「花弁が離れているか(離弁花)、くっついているか(合弁花)」だ。この違いは進化の段階を反映していて、合弁花類のほうが比較的新しいグループとされる。さらに、これらの「真正双子葉類」よりも前に分岐した「原始的な双子葉類」も存在する。
このコラムでは、双子葉類の中の主要な系統分岐を、原始的グループ→離弁花類→合弁花類という流れで辿る。
双子葉類の系統樹では、大きく3つのグループへの分岐が重要だ。下の図は簡略化した系統の流れで、上ほど「古くに分岐したグループ」を示す。
※ 現代のAPG分類では「離弁花類」「合弁花類」という区分は正式な分類群ではなく、系統の傾向として理解する。実際は複数の目(Order)にまたがる。
被子植物の系統樹の根元近くに位置するグループは、花の構造が「整然としていない」特徴を持つ。花弁と萼の区別が曖昧で、花被片が螺旋状に多数並ぶ。これは被子植物が進化した初期の形に近いと考えられている。
花弁と萼片の区別が曖昧で、花被片が螺旋状に多数並ぶ。雄しべ・雌しべも螺旋状に多数つく。早春に葉より先に花を咲かせる種が多い。被子植物の中で最も原始的なグループの一つとされる。
花弁が基部まで完全に独立して並ぶグループ。「花びらをつまんで1枚ずつ取れる」かどうかが確認しやすい目安になる。バラ科・マメ科・アブラナ科などが代表的。
花弁5枚が離れて並び、おしべが多数(たいてい20本以上)。葉にギザギザ(鋸歯)があり、果実は多様(さくらんぼ・梨・いちご・バラの実など)。日本で最もよく見かける科の一つ。
花弁5枚だが、形が蝶のような「蝶形花」をつける。果実は「さや」に包まれた豆(莢果)。葉は3出複葉または羽状複葉が多い。根に根粒菌が共生して窒素固定を行う。
花弁がちょうど4枚、十字形に並ぶ(Crucifer=十字架の意)。雄しべは6本(外側2本が短い)。果実は細長い「角果」になる。菜の花・大根・キャベツ・ワサビなどを含む。
花弁4枚(2枚ずつ対になる配置)。茎や葉を傷つけると乳液が出る種が多い。高山植物にも多く見られる。コマクサはこのグループの代表。
花弁が根もとで合着して筒状・壺状・唇形などの形になるグループ。「花びらが1枚ずつ取れない」のが目安になる。キク科・シソ科・リンドウ科など多くの重要な科が含まれる。
1つの「花」に見えるが、実は多数の小花が集まった「頭状花序」。外側に舌状花(花弁が舌のように広がる)、中央に筒状花(管のような小花)が並ぶ。冠毛(綿毛)を持つ種が多い。被子植物の中でも最大クラスの科。
茎を断面で見ると四角形。花弁は5枚だが基部でくっついて上唇・下唇に分かれた「唇形花」になる。葉は対生し、多くの種が芳香を持つ。バジル・ミント・シソ・ラベンダーもシソ科。
花弁が基部でくっついた筒状〜鐘状の花。晴天でのみ開き、曇りの日は閉じている。葉は対生で全縁。秋の山野を代表する植物グループ。
花弁が4枚合着した小さな花が穂状に集まる。根生葉のみで葉脈が平行に目立つ(単子葉類と誤認されやすい)。踏み固められた道端に強い。ゴマノハグサ科からAPG分類でオオイヌノフグリなどが統合された。