花被片が「3の倍数」——その共通点から単子葉類の各グループを系統で読み解く
被子植物の約25%を占める単子葉類。イネ・ユリ・ツユクサ・アヤメ・ヒガンバナ——いずれも「葉脈が平行」という共通点を持つが、系統的な距離は意外に遠いものもある。
単子葉類の系統樹を眺めると、「サトイモ科が古いグループ」「イネ科とツユクサ科は比較的近縁」「ユリ科・アヤメ科・ヒガンバナ科はユリ目という同じ大グループ」など、見た目だけではわからない関係が浮かびあがる。
このコラムでは、単子葉類の主要グループを系統の分岐に沿って整理し、野外での見分け方のポイントを解説する。
単子葉類はひとつの単系統群(共通の祖先から派生した閉じたグループ)だが、内部でいくつかの大きな分岐がある。最も基底的(古くに分岐)なグループにサトイモ科があり、そこから多様なグループに分かれていった。
※ 単子葉類の共通特徴は「子葉1枚・葉脈平行・花被片3の倍数・茎の維管束が散在・根が須根系」。ただし例外もあるため複数の特徴で判断する。
単子葉類の系統樹の根元近くに位置するのがサトイモ科だ。「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる大きな苞葉が花序を包む独特の構造を持ち、見た目は他の単子葉類と大きく異なる。
コメリナ類は単子葉類の中でも多様なグループで、ツユクサ科・イネ科・カヤツリグサ科などを含む。葉の基部が茎を包む「葉鞘」が発達することが共通点の一つだ。
花弁は3枚で鮮やかな青(または白・ピンク)。葉の基部は茎を抱く葉鞘をもつ。朝に開花して午後にしぼむ「一日花」が多い。ツユクサ・ヤブミョウガ・ムラサキツユクサなどを含む。
ユリ目はユリ科・アヤメ科・ヒガンバナ科などを含む大グループ。花被片が6枚(3枚の内花被片+3枚の外花被片)という特徴を共有することが多く、球根または根茎をもつ種が多い。観賞植物として利用される種が豊富。
外花被片と内花被片の合計6枚が均等に広がる大きな花。球根(鱗茎)をもち、雄しべ6本・雌しべ1本。葉脈は平行。高山から里山まで幅広く分布し、日本固有種も多い。
花被片6枚だが、外花被片(外側3枚)と内花被片(内側3枚)で形・大きさが異なる。根茎または球根をもつ。葉は剣状で二列に扇状に広がる。カキツバタ・アヤメ・ハナショウブ・クロッカス・グラジオラスなどを含む。
球根(鱗茎)をもち、葉と花が別々の時期に出る種が多い(ヒガンバナは花の時期に葉がなく、スイセンは花後に葉が枯れる)。花被片6枚で、雄しべ・雌しべが花外に大きく突き出る種もある。
根元から葉が密生し(根生葉)、葉脈は平行で目立つ。花は小さく花被片6枚。ショウジョウバカマ・コバイケイソウなど湿った山地や高山に生える種が多い。